
首が一方向にしか回らない...
ボトックス注射をしてから首が回らなくなった...
子供の送り迎えで安全に運転したい...
こういったお悩みはありませんか?
今回のブログをご覧になることで、首が一方向に回ってしまう頸部ジストニアの意外な原因と、なぜボトックス後に悪化することがあるのかについて知ることができます。

皆さんこんにちは。
高槻市で整体院を営んでおりますユーカリ整体院の樋口です。
このブログを書いたきっかけなんですけども、患者さんから、「肩こりを楽にしたくてボトックス注射をしたんですが、首が左にしか回らなくなってしまったんです...」
と、お悩みの相談がありました。
詳しく聞いてみると、「3人の子供の習い事で送り迎えが必要なんですが、振り向き動作ができないんです...」ということを教えていただきました。
同じようなお悩みの方の参考になりましたら幸いです。
話の内容はこちら
1. 頸部ジストニアとは?なぜボトックスで悪化することがあるのか
2. 意外な原因!左肺の歪みと右足重心が引き起こす首の問題
3. 体全体のバランスを整える!当院でのアプローチと自宅でできるセルフケア
それでは話を進めますね。
1. 頸部ジストニアとは?なぜボトックスで悪化することがあるのか

「頸部ジストニアってなに?」
「ボトックスで治るはずなのに、なぜ悪くなるの?」
このような疑問に答えていきましょう。
今回ご相談いただいた患者さんは、40代の女性で3人のお子さんを持つ主婦の方です。
もともと肩こりに悩まされており、ボトックス注射で改善を期待していたところ、1ヶ月前から、首が右側に回しにくい状態になっていました。
現在は鍼灸院にも通われているとのことでした。
頸部ジストニアとは
頸部ジストニアとは、首の筋肉が無意識に収縮してしまい、首が一定の方向に向いてしまう神経疾患です。
2024年の研究では、この症状は以下の要因が複雑に絡み合って起こることが分かっています。
- **姿勢制御の障害**
- **体の位置感覚(固有受容感覚)の異常**
- **体幹バランスの不安定性**
参考文献:[Postural control and the relation with cervical sensorimotor control in patients with idiopathic adult-onset cervical dystonia (2024)](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29340715/)
なぜボトックスで悪化することがあるのか
ボトックスは筋肉の一部を麻痺させる有効な治療法ですが、根本的な体のバランスが崩れたまま一部の筋肉だけを弱くすると、他の筋肉がさらに過剰に働く必要が出てくることがあります。
2023年の研究では、より効果的な治療のためには体全体のバランスを考慮することの重要性が報告されています。
参考文献:[The effectiveness of physiotherapy for patients with isolated cervical dystonia (2024)](https://bmcneurol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12883-023-03473-3)
つまり、筋肉の症状だけでなく、体全体のバランスを見る必要があるということなんです。
2. 意外な原因!左肺の歪みと右足重心が引き起こす首の問題

では、どうして頸部ジストニアが起きたのでしょうか。
当院で詳しく検査をしたところ、左肺の歪みと右足重心が関係していることが分かりました。
「肺と首が関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は密接な関係があるんです。
左肺の歪みの影響

左肺が歪むと、肋骨や背骨の胸の部分(胸椎)が捻れてしまいます。
すると、首の筋肉が代償的に働いて体のバランスを取ろうとするんです。
特に3人のお子さんを抱っこしたり、家事をしたりする際に、無意識に体を捻る動作が多くなります。
右足重心の問題

さらに、右足に重心が偏ることで、体全体が右に傾いてしまいます。
すると、首は左に回ってバランスを取ろうとするんです。
2024年の研究では、頸部ジストニア患者の54.34%に転倒のリスクがあり、姿勢制御の異常が確認されています。
参考文献:[Do patients with cervical dystonia present a greater risk and more fear of falling? (2025)](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12034411/)
身体の連鎖反応
つまり、首だけの問題ではなく、
肺→背骨の胸の部分(胸椎)→首
足→骨盤→首
肺→背骨の胸の部分(胸椎)→首
足→骨盤→首
という連鎖反応で症状が出ていたんです。
なぜボトックスで悪化したのか
この状態でボトックスを打つと、バランスを取ろうと働いていた筋肉が弱くなり、他の筋肉がさらに過剰に働く必要が出てきます。
結果として、症状が悪化してしまったと考えられます。
3. 体全体のバランスを整える!当院でのアプローチと自宅でできるセルフケア

当院では、首だけでなく体全体のバランスを整えるアプローチを行います。
当院での施術内容
1. 左肺の歪みの調整
肋骨や背骨の胸の部分(胸椎)の調整を行い、肺まわりの筋肉を整えます。
呼吸が深くなることで、首の緊張も自然と緩んできます。
2. 足の重心バランスの調整
右足重心を調整するため、足首や骨盤の調整を行います。
3. 体の位置感覚(固有受容感覚)の再教育
2024年の研究では、体の位置感覚を正常に戻す訓練が頸部ジストニアに効果的であることが分かっています。
参考文献:[Enhancing Respiratory Functions and Cervical Proprioception (2024)](https://journals.lww.com/jnsm/fulltext/2024/07040/enhancing_respiratory_functions_and_cervical.7.aspx)
当院でも、体がどこにあるかを正確に感じ取る感覚を正常に戻すための訓練を行います。
治療の結果
実際にこの患者さんは、徐々に首の動きが良くなるようになりました。
2024年の研究では、このような包括的なアプローチにより、頸部ジストニア患者の姿勢制御とバランス機能が有意に向上することが報告されています。
参考文献:[Postural control and the relation with cervical sensorimotor control in patients with idiopathic adult-onset cervical dystonia (2024)](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29340715/)
ご自宅でできるセルフケア
胸式呼吸の練習
左肺の歪みを整えるために、まず呼吸から見直しましょう。
1. 両手を胸の上に置きます
2. 鼻からゆっくり息を吸いながら、胸を膨らませます
3. 口からゆっくり息を吐きながら、胸をしぼませます
4. これを10回、1日3セット行ってください
詳しい動きは動画でもご覧いただけます。
(セルフケアは動画の4分0秒〜)
重心バランスの確認
立った状態で、両足に均等に体重が乗っているかを確認してください。
右足に偏りがちな方は、気がついたら左足にも体重を乗せるようにしましょう。
休めの姿勢にならないよう気をつけてください。
まとめ
今回のポイントをまとめますと、
1. 頸部ジストニアは首だけの問題ではない
2. 肺の歪みや重心バランスが根本原因の場合がある
3. ボトックスの効果をより高めるためには、体全体のバランスも大切
4. 体全体のバランスを整えることで良い変化が期待できる
特に育児中のお母さんは、抱っこや家事で体に負担がかかりやすい状況にあります。
「育児疲れ」で片付けられがちですが、実は体の歪みが隠れている可能性があります。
もし同じような症状でお悩みの方がいらっしゃいましたら、一度体全体のバランスをチェックしてみることをおすすめします。
これらの対策を続けても、首の症状が楽にならない場合は、肺の歪みや重心バランスの異常が関係している可能性があります。
その際は、当院の全身のゆがみを調整する施術がお役に立てると思います。
お悩みの方は、当院LINEからご相談ください。
監修:樋口亮太/柔道整復師
